#3 源流テンカラの毛鉤について

源流テンカラのノウハウ

源流で良い釣りをするための毛鉤について。
何を持って「良い釣り」かは、各自の価値観で違って当然です。数を釣るのか?大物を狙うのか?
私は、遊びには特に数値(数、サイズ)に関する目標を持たない主義です。
相対的価値(人と比べる)ではなく、常に絶対的価値(自分が楽しむ)があるからです。
もちろん釣り師ですから大物も釣りたいし、数も釣りたいです。でも一番嬉しいのは、ここには必ず魚が居ると信じたポイントで狙い通り釣れた時です。
そのためには、毛鉤のサイズバリエーションを増やすのか?カラーバリエーションを増やすのか?
源流テンカラにおける私の考え方をお話しします。

目次

源流釣りは時間との戦い

毛鉤を巻く作業をタイイングと言います。私がテンカラを始めたばかりの頃、毛鉤の巻き方が分からずに購入した本が「フライフィッシング タイイング教本」なるものでした。テンカラの毛鉤の巻き方はフライと違って知ってしまえば非常にシンプルで、テンカラ釣りの先達などはバイス(釣り針を固定する道具)などを使わない方もいるぐらいです。
ただ、最初の毛鉤を巻くハードルが高くやむなく大枚叩いて分厚い教本を書いました。
わずか10年前ですが、今のようにYouTubeなどの動画がそれほど普及していませんでした。
最初に巻いた毛鉤は、パラシュートでした。それから、カディスにニンフにあらゆるフライフィッシング用の毛鉤を巻きました。
タイイング道具を一通り揃えて、色んなフライを巻くためのマテリアル(羽、獣毛、糸、ワイヤー、その他もろもろ)を書い始めると、それは「沼」と言うやつで、私もどっぷりハマりました。
今思えば恐ろしい金額を注ぎ込んだものです。源流テンカラを楽しむには、あまり必要ない散財でしたが、色んな毛鉤を巻くことにより、各素材の特徴やフック(針)についても知識が増えたことも財産であり、またフライを巻くことで否が応でも水生昆虫やその生態について学ぶことになり良い経験になったと思っています。少しは、今の釣りに生きていると思っています。

毛鉤なんてなんでもいい

源流テンカラのシーズンは、里が春を迎えてもまだ少し早いかなーと言う感じです。
なので実際のシーズンは地域差がありますが5月中旬から9月いっぱいと言うところでしょうか。
大雑把に分けてみると、源流にやっと新緑が芽生えてくる5月ごろ、雨が続いて増水ばかりの梅雨時期、暑くて渇水&ゲリラ豪雨の盛夏、ペアリングに夢中の終盤の頃、全く状況が違います。
この状況に合わせて、ロッドを持ち替え、水生昆虫のステージに合わせて毛鉤を頻繁にチェンジし、ついには魚の胃袋から内容物を吸い出し食べてるものを調べ、流下している虫を網で掬って観察し、それに合わせて行くのがフライフィッシング。フライマンはそれを完遂するために一日中でも同じ場所で根気よく釣りをし、同じポイントに毎日でも通います。時にはライズ待ちと言って、水生昆虫が羽化するまで、川辺でじっと座り半日でも待っている事があります。
ただ、先に述べた通り源流テンカラは時間との戦いです。
毛鉤チェンジしている時間が惜しいのです。
「毛鉤なんてなんでもいい」=「この毛鉤で釣れないなら仕方がない」
と、自分が100%信頼のおける毛鉤であることが条件です。
これをやるには「自分で毛鉤を巻く」事をしないと実現できません。
そして、その一つの毛鉤で勝負するには、その他色々な工夫が必要になってくるわけです。

毛鉤交換より流し方を変える

釣りが上手な人とそうでない人の違いってなんでしょう。
答えは「魚の気持ちになれるかどうか」です。
具体的にどう言うことかというと、いくつか事例を書いてみます。

◯「魚が居る場所と魚が餌を食う場所は違う」
魚が居る場所に、ピシャッと毛鉤を打ち込む人がいます。
魚はビックリして大体逃げてしまいますね。
フワリとプレゼンテーションできればパクっと食うことはありますが稀です。
少し上流に流して、捕食ポイントに自然に流し込む。
反転流(巻き)に対して釣り上がりの場合は下流側から毛鉤を流し込む。
魚はエサを食べたい場所で待つのではなく、エサを食べたい(食べやすい)ポイントからちょっと離れた安全な場所から、その気のないフリをして様子を見ている事が多いです。

◯「流れと同じスピードで流せば食うってもんじゃない」
流速と同じスピードで流すことをナチュラルドリフトと言うようですが、餌が多く流れる筋の流速が早すぎたり遅すぎたりした場合、その流速と同じスピードで毛鉤を流しても食わないことがあります。
流れが早いポイントは遅く流す→あえてドラグをかけて流すか、早い流れの中に存在する一筋の遅い流れを流す。
流れが遅いポイントは早く流す→竿の操作で毛鉤を極わずかに引っ張るか、遅い流れの中の早い層を流す。層と書いたのは、水面の話だけではなくて深さによる流速の違いを考えた流し方になるわけです。
なぜなら、魚がエサを食いやすい(毛鉤を咥えやすい)流速と言うのが存在するからです。
そして、これは場所により、季節により、気温により、水温により、時間により変化します。
それを、魚の気持ちで探りながら、その日その時の捕食パターンを探すのがテンカラの醍醐味です。

たいしょーは逆さ毛鉤がお好き

私にとって自信を持って「これでダメなら仕方がない」という気持ちで結ぶことができるのが「逆さ毛鉤」です。
これは、僕にとって万能の毛鉤で、竿の操作で「浮かす」「沈める」が自在です。もちろん、それなりの練習は必要です。
私にとっての必勝毛鉤は逆さ毛鉤ですが、「人それぞれでなんでも良い」と思います。
色んな毛鉤を巻いて、実釣で試して、またアレンジして巻き直して自分の毛鉤を育てていくのは楽しいことです。
テンカラ毛鉤の種類や巻き方については、また別項でご紹介いたします。

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